
Q. みなし残業時間を超えても「固定だから」と追加の残業代が出ないのは適法?
固定残業代(みなし残業)は「その時間までなら何時間働いても定額」という制度ですが、設定時間を1分でも超えた場合は、別に追加で残業代を支払う義務があります。追加払いがないのは完全に違法(アウト)です。
【結論】「みなし時間」を超えた分の未払いは完全に法律違反です
多くの人が「うちは固定残業代(みなし残業)だから、どれだけ残業しても給料は変わらない」と誤解していますが、これは大きな間違いです。
固定残業代制度は、あらかじめ設定した時間(例:月30時間)までの残業代を定額で前払いする仕組みに過ぎません。もしあなたが月40時間残業した場合、会社は超えた「10時間分」の残業代を追加で支払う法的義務があります。会社が「固定だから追加は出ない」と言い張るのは、明確な労働基準法違反です。
固定残業代が無効になる「アウト」な条件
超過分の未払い以外にも、そもそも固定残業代の制度自体が「無効(違法)」と判断されるケースが多々あります。以下の条件に引っかかると、制度そのものが無効になり、会社は「今まで払っていた定額とは別に、残業した全ての時間の残業代を払い直しなさい」と命じられるリスクを抱えます。
1. 基本給と残業代の金額が明確に分かれていない
「月給30万円(残業代を含む)」といった曖昧な書き方は無効になりやすいです。
「基本給25万円、固定残業代5万円(月30時間分に相当)」のように、何円が何時間分の残業代なのか、明確に区別されて示されていなければなりません。これを「明確区分性」と呼びます。
2. 実際の残業時間が固定残業時間を常態的に超えている
会社が全く労働時間の管理をしておらず、設定した固定時間を日常的に大幅オーバーしているのに放置している場合、制度の悪用とみなされて無効になる可能性があります。
よくある理由のジャッジ・シミュレーション
固定残業代を提示された際の、よくある違法パターンのジャッジです。
| シチュエーション(説明のされ方) | 法的判定 | 具体的な解説 |
|---|---|---|
| 「うちは月給制で、給料に残業代が含まれているから追加は絶対ないよ」 | アウト(違法) | 基本給と残業代の明確な切り分け(明確区分性)がない場合、その合意は無効となり、基本給全額をベースに計算した残業代を別途請求できる可能性があります。 |
| 「著しく長時間の固定残業代(例:月80時間分など)を設定されている」 | グレー(無効の可能性が高い) | 労働者の健康を著しく害するおそれがあるほど長い残業時間を前提とした固定残業代の設定は、法の趣旨や公序良俗に反するとして無効とされる可能性があります。 |
| 「基本給25万円、固定残業代3万円(20時間分)。20時間を超えた分は別途計算して毎月支給している」 | セーフ(合法) | 明確に区分されており、超過分も正しく支払われているため、適法な固定残業代の運用と言えます。 |
あなたの給与明細を今すぐセルフチェック
あなたの給与明細や雇用契約書を見てください。「固定残業手当」等の名目でいくら支払われているか、明確な記載はありますか?そして、毎月それ以上の時間を残業しているのに、追加の支払いがゼロではありませんか?
もし思い当たる節があるなら、あなたの会社は法律違反をしている可能性が高いです。未払いの残業代は過去に遡って請求できる可能性があります。まずは入門書等で知識をつけ、証拠となるタイムカードなどの記録を手元に残しておきましょう。
※自分のケースが完全な違法だとわかった場合、どのように証拠を集めて会社にアプローチすればよいのか。具体的な行動については、関連記事「未払い残業代を取り返す手順!証拠の集め方と請求コマンド」を確認してください。また、全体像を把握したい方はメインガイド「残業代が出ないのは違法?適法になるケースと違法の分かれ目」をご活用ください。
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