裁判とは
裁判とは、法律に基づいて紛争を解決したり、犯罪に対する刑罰を決定したりする手続きです。日本の裁判制度は、民事裁判と刑事裁判に大きく分けられます。
テレビドラマで見る裁判シーンは主に刑事裁判ですが、実際には民事裁判の方が件数は多く、私たちの生活により身近な存在です。
民事裁判と刑事裁判の違い
目的の違い
民事裁判は、個人や企業間の権利義務に関する紛争を解決することが目的です。金銭の支払い、不動産の明け渡し、離婚などが対象となります。
刑事裁判は、犯罪を犯した者に対して国家が刑罰を科すことが目的です。懲役、罰金、執行猶予などが言い渡されます。
当事者の違い
民事裁判では、訴える側を「原告」、訴えられる側を「被告」と呼びます。どちらも私人(個人や企業)です。
刑事裁判では、起訴する側は「検察官」(国家機関)、起訴される側を「被告人」と呼びます。
判決の違い
民事裁判の判決は、主に金銭の支払いや特定の行為を命じる内容です。判決に従わない場合、強制執行により実現されます。
刑事裁判の判決は、有罪の場合は刑罰(懲役、禁錮、罰金など)が言い渡されます。無罪の場合は「無罪」が宣告されます。
民事裁判の流れ
①訴状の提出
原告が訴状を裁判所に提出します。訴状には、請求の趣旨(何を求めるか)と請求の原因(なぜそれを求めるか)を記載します。
②第1回口頭弁論期日
裁判所で、原告と被告が主張を述べます。被告は答弁書で反論します。
③争点整理・証拠調べ
何が争点なのかを整理し、証拠を提出します。証人尋問が行われることもあります。民事裁判の平均審理期間は約8〜10ヶ月です。
④判決
裁判官が判決を言い渡します。判決に不服がある場合、2週間以内に控訴することができます。
和解による終結
民事裁判では、途中で和解が成立し、判決を待たずに終結することも多くあります。和解調書は判決と同じ効力を持ちます。
刑事裁判の流れ
①捜査
警察が犯罪を捜査し、証拠を収集します。被疑者を逮捕する場合もあります。
②起訴
検察官が、被疑者を起訴するかどうか判断します。起訴されると、被疑者は「被告人」となります。起訴されない場合は「不起訴処分」となります。
③公判
裁判所で公判が開かれます。冒頭手続き(人定質問、起訴状朗読、黙秘権告知)の後、証拠調べが行われます。
④論告・求刑と弁論
検察官が論告・求刑(求める刑罰)を述べ、弁護人が最終弁論を行います。被告人の最終陳述もあります。
⑤判決
裁判官が判決を言い渡します。有罪の場合は刑罰が、無罪の場合は無罪が宣告されます。判決に不服がある場合、2週間以内に控訴できます。
裁判に関わる人々
裁判官
中立的な立場で、法律に基づいて判断を下す役割を担います。
弁護士
民事裁判では原告側・被告側双方に、刑事裁判では被告人側に弁護士がつきます。法律の専門家として、依頼人の利益を守ります。
検察官
刑事裁判で、国家を代表して被告人を起訴し、有罪を立証する役割を担います。
裁判員(裁判員制度)
重大な刑事事件では、一般市民から選ばれた裁判員が裁判官とともに審理に参加します。
裁判の種類
民事裁判の種類
・通常訴訟:一般的な民事紛争
・少額訴訟:60万円以下の金銭請求(原則1回の審理で判決)
・労働審判:労働関係の紛争(原則3回以内の期日で解決)
・家事事件:離婚、相続、親権など家庭に関する紛争
刑事裁判の種類
・通常の刑事裁判
・裁判員裁判:殺人、強盗致傷などの重大事件
・即決裁判:明白な事件で被告人が同意した場合
裁判の三審制
日本では、三審制が採用されています。
第一審
地方裁判所または簡易裁判所で行われます。
第二審(控訴審)
第一審の判決に不服がある場合、高等裁判所に控訴できます。
第三審(上告審)
第二審の判決に不服がある場合、最高裁判所に上告できます。ただし、上告は憲法違反などの重大な理由がある場合に限られます。
裁判以外の紛争解決手段
調停
裁判所で調停委員が間に入り、話し合いによる解決を目指します。民事調停、家事調停などがあります。
仲裁
私的な仲裁人が判断を下す制度です。当事者が事前に仲裁合意をしている必要があります。
ADR(裁判外紛争解決手続)
弁護士会、消費生活センター、業界団体などが提供する紛争解決手続きです。
裁判にかかる費用
民事裁判
訴額に応じた印紙代(例:100万円の請求で1万円)、郵便切手代、弁護士費用などがかかります。
刑事裁判
被告人側は弁護士費用がかかります。国選弁護人を選任できる場合もあります。
まとめ
裁判は、民事裁判と刑事裁判に分かれ、それぞれ目的や手続きが異なります。三審制により、複数回の審理を受ける機会が保障されています。紛争解決には裁判以外の方法もあるため、状況に応じて適切な手段を選択することが重要です。法的トラブルが生じた場合は、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。

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