退職の損害賠償は恐くない!会社側が負けた裁判例の傾向を解説

退職の損害賠償は恐くない!会社側が負けた裁判例の傾向を解説

K先輩です。「辞めたら裁判を起こす」と言われたら、誰だって怖くなりますよね。でも、実際の裁判の傾向を知れば、その恐怖は大きく和らぐはずです。今回は、退職をめぐって会社が労働者に損害賠償を請求したけれど、裁判所に退けられた(会社側が負けた)ケースの傾向を紹介します。

本内容は、退職に伴う損害賠償請求に関する実際の裁判例の一般的な傾向に基づいて構成しています。個別の判決名や詳細な判決内容については、弁護士等にご確認ください。

傾向1:「退職=損害」という会社の主張は通りにくい

会社が「あなたが辞めたせいで取引先に迷惑がかかった、だから損害を賠償しろ」と訴えたケースで、裁判所がこれを退けた事例が複数報告されています。

裁判所の考え方はこうです。「退職は労働者の正当な権利であり、退職したこと自体は不法行為にならない。会社は従業員が辞めるリスクを常に想定して、業務体制を整えておくべきだ」

日常生活で例えるなら、「友達がいつも車で送ってくれていたけど、急に引っ越して送ってもらえなくなった。だからタクシー代を払え」と言っているようなもの。友達には引っ越す自由があり、車で送り続ける義務はありません。それと同じで、会社には人員が入れ替わっても業務が回る体制を作る責任があるということです。

傾向2:「賠償予定の禁止」で会社の請求が無効化される

雇用契約書に「退職する場合は研修費用として○万円を返還する」「違約金として○万円を支払う」と書かれていたケースでも、裁判所はこれを「労基法が禁止する賠償予定に該当する」として無効と判断する傾向が強いです。

ただし注意が必要なのは、純粋な「貸付金」として契約されていた場合は別の判断がなされることもあります。「研修費用の貸付」と「退職時の違約金」は、契約の形式と実態によって裁判所の判断が変わりますので、不安な場合は弁護士に相談しましょう。

傾向3:会社が損害賠償を勝ち取るハードルは非常に高い

会社が退職者への損害賠償を認めてもらうには、以下のすべてを裁判で立証する必要があります。

  1. 労働者に故意または重大な過失があったこと(普通に辞めただけではダメ)
  2. 具体的な金額の損害が発生していること(「困った」だけではダメ)
  3. 退職と損害の間に因果関係があること(他の原因ではないこと)

これらすべてを会社側が証明しなければならず、そのハードルは極めて高いと言えます。そのため、実際に裁判まで発展するケースは非常に稀であり、多くの場合は会社側の脅しにとどまっています。

ただし、こんなケースは要注意

労働者が明らかに悪質な行為をして退職した場合は、損害賠償が認められた例もあります。

  • 退職時に故意に顧客データを消去・持ち出した
  • 競業避止義務に違反して、在職中に得た機密情報を使って同業他社に転職した
  • 退職直前に意図的に重要プロジェクトを妨害した

これらは「退職の自由」の問題ではなく、「在職中の義務違反」や「不法行為」として別の法理で裁かれるものです。普通に退職する限り、心配する必要はありません。

裁判の傾向を見ると、裁判所は「働く人の辞める自由」をとても大切にしていることが分かる。会社の「裁判するぞ」は、ほとんどの場合、法的な根拠のないブラフ(脅し)だから、冷静に対応しよう。

退職トラブルの全体像は退職の引き止めを突破する法律ガイドをご覧ください。「違約金の禁止」と「実際の損害賠償」の違いについてはジャッジ記事で詳しく解説しています。

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