
借りパクされた物を取り返したい。でも何から始めればいいかわからない。放置すると証拠が消えてしまい、後から請求しても「そんな約束はしていない」と逃げられるケースもあります。現状を打開する具体的なステップを整理します。ただし、焦って動くと逆効果になることもあるため、まずはやってはいけないNG行動を確認してください。
- 相手の家に押しかけて物を取り返す → 住居侵入罪・暴行罪のリスク
- SNSで相手の名前を出して「借りパクされた」と投稿 → 名誉毀損のリスクを自分が負う
- 相手の持ち物を無断で持ち帰る → 窃盗罪のリスク
【要注意】焦ってやってはいけない法的リスク
借りパクへの怒りは当然です。しかし、以下の行動は自分の立場を不利にする可能性があります。
- 自力救済(実力で取り返す):たとえ自分の所有物であっても、裁判所などの正当な手続きを通さずに力ずくで取り返すこと(自力救済)は、日本の法律で原則として禁止されています。相手の家に無断で入って取り返す行為は、住居侵入罪に問われる可能性があります。いくら自分の物でも「実力行使」はNG。法的手段で取り返す必要があります
- SNSでの名指し批判:「○○に貸した物を返してもらえない」と実名や顔写真付きで投稿すると、名誉毀損や侮辱のリスクを自分が抱えることになります。たとえ事実であっても、公然と名指しすることで法的な責任を負う可能性があります
- 相手の所有物を「担保」として持ち帰る:「返してくれないから代わりに持っていく」という行為は窃盗罪に該当する可能性があります。正当な権利があっても、相手の意思に反して物を持ち去ることは許されません
「証拠がない」「警察が動かない」からといって、自分で実力行使に出ると法的リスクを自分が負うことになります。知らないと損するのは「自分が正しくても、やり方を間違えると加害者扱いされる」という点です。まずは自分のケースが犯罪にあたるか確認したうえで、正しい手順に従って動きましょう。
借りパクされた物を取り返す具体的な4つのステップ
STEP1:貸した事実の証拠を整理する
まず、「いつ・誰に・何を貸したか」を整理します。完璧な証拠がなくても、今ある材料を集めることが重要です。
- LINEやメールのやり取り(「○○貸して」「いいよ」等の記録)をスクリーンショットで保存
- 貸した日時・場所・物品名をメモに書き出す
- 物品の写真(購入時のレシート・商品画面)があれば保存
- 第三者(共通の友人等)が貸し借りを知っている場合、証言を得られるか確認する
「証拠がない」と思っても、LINEの「既読」やSNSのやり取りが証拠になるケースがあります。諦める前に、手元のスマホを確認してみてください。
STEP2:期限を決めて書面(LINE可)で催促する
次に、相手に返還を求めるメッセージを送ります。ポイントは「具体的な期限を設定すること」と「文面で記録を残すこと」です。
「○月○日にお貸しした○○ですが、○月○日までにお返しいただけますか。ご都合が悪ければ日程を調整しますのでご連絡ください。」
このメッセージを送ること自体が、「返還を求めた」という重要な証拠になります。相手の返答(「忘れてた」「来週返す」等)もスクリーンショットで保存してください。
よくある失敗パターンは、口頭だけで催促して記録に残さないことです。「あのとき返してって言ったよね?」は、証拠がなければ「聞いていない」と否定される可能性があります。
「LINE送るだけで証拠になるの?」って思うかもしれないけど、日付・内容・相手の反応が残っているメッセージは、裁判でも使えることがある。まずこの一通だけ送ってみよう。
STEP3:内容証明郵便で正式に返還を求める
催促しても返ってこない場合は、内容証明郵便の送付を検討しましょう。内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明してくれる制度です。
- 弁護士に依頼しなくても自分で作成・送付できます
- 郵便局の窓口またはe内容証明(ネット完結)で利用可能
- 相手に「法的手段に進む可能性がある」と伝わり、心理的なプレッシャーになります
内容証明郵便を受け取った時点で返還に応じるケースは少なくありません。法的な手続きに進む前の最も効果的なステップです。
STEP4:少額訴訟・弁護士への相談を検討する
それでも返ってこない場合は、法的手段を検討します。
- 少額訴訟:比較的少額のトラブルを迅速に解決するための手続きです。利用できる金額の上限については、裁判所の公式サイトなどで最新の基準を確認しましょう。
- 弁護士への相談:物の金額が大きい場合や、相手が悪質な場合は弁護士に依頼するのが確実です。刑事告訴も視野に入れられます
- 法テラス:利用には収入や資産が一定額以下である等の条件があるため、最新の利用要件は法テラスの公式サイトで確認しましょう。
相手が無視する・警察が動かない場合の突破法
借りパクの被害を警察に相談しても、「民事不介入」として門前払いされるケースは少なくありません。「警察が動かない」と思われがちですが、これは借りパクの被害が「民事トラブル」として分類されやすいためです。
しかし、以下のいずれかに該当する場合は、警察が動く可能性があります。
- 借りた物を売却した証拠がある(横領罪の成立が見込める場合)
- 最初から返す意思がなかったことが明らかな場合(詐欺罪の成立が見込める場合)
- 被害額が高額で悪質性が認められる場合
「証拠がない」「警察が動かない」と感じている方は、まず民事上の手段(内容証明→少額訴訟)で動くことが現実的です。弁護士を通じて刑事告訴を行えば、警察が対応に動くことがあります。
「証拠がない」「警察が動かない」と感じている方へ
証拠がないと感じていても、今日からできることがあります。
- LINEで返還を求め、やり取りの履歴を残す(これだけで証拠になります)
- 貸した日時・物品・相手の名前をスマホにメモする
- 内容証明郵便は弁護士なしでも送れます(郵便局窓口またはe内容証明)
相談先の一覧と次に検討すべきこと
- 法テラス(日本司法支援センター):無料法律相談・費用立替制度。収入や資産が一定額以下である等の条件があるため、最新の利用要件は法テラスの公式サイトで確認しましょう。
- 弁護士:返還請求・刑事告訴を代理。初回相談無料の事務所も多い
- 簡易裁判所:少額訴訟の申立先。手続きは比較的簡便
- 警察:悪質なケース(売却・詐欺的手口)は被害届を検討
借りパクの全体像を整理したい場合はこちらの記事で確認できます(→借りパクは罪になる?横領罪との分かれ目を整理)。
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