役に立つ法律の情報・実用法学-行政法、民法など、大学課程の法学

行政法とは

 

 

「行政法は憲法を具現化したもの」

 

                                           byフリッツ・ヴェルナー

 

行政法とは、憲法の中にうたわれた基本的人権の保証などの理念に活かしたものが「行政法」です。
よって行政法には、民法や憲法などの法律と異なり、「行政法」という統一的法典はありません。

 

行政法の概念

 

 

このため、行政法という法律はありません。
しかし、行政に関する法は多数存在し、その総称が、「行政法」と呼ばれます。
(例)国有財産法、道路交通法、河川法、農地法、特許法、建築基準法、土地区画整理法、国土利用法、都市計画法、食品衛生法、年金法、郵便法、生活保護法、医師法、予防接種法etc...

 

その結果、行政法の対象は非常に広く、主に「行政組織法」、「行政作用法」、「行政救済法」と3つに分類されます。
これが行政法の全体構造となります。

 

これら3つは、行政法の定義という項目で詳しく解説してますので、そちらも参考にして下さい。

 

 

行政法の特質

 

行政法の特質として、公益優先性、公権力性があります。
公益優先性とは、私人の活動は「私益」に関わるのに対し、行政活動は「公益」に関わります。
そのため、行政法は「公益」を保護するための特別な規定を置いています。

 

つまり、個人の利益ではなく全体の利益を保護するために別の規定がある、ということです。
それが、公益優先性といいます。

 

次に、公権力性とは国民の意思に関係なく、一方的・強制的に権力を用いて活動を行うことをいいます。
例えば、課税賦課処分や土地収用など、やむを得ずに個人の利益を奪う性質がある、ということです。

 

次のページの、行政法の法源も重要ですので必ず見てください。

 

 

行政法の定義

 

 

行政法とは「行政の組織及び作用並びにその統制に関する国内公法」
                                             by田中二郎

 

行政法とは、上で話したように「行政法」という名称の法典はなく、抽象的な法理論です。
そこで行政法は、行政の組織にかかわる「行政組織法」、行政の作用にかかわる「行政作用法」、そしてその統制にかかわる「行政救済法」の3つの分野に分けられます。

 

行政法の定義

 

 

@行政組織法

 

行政組織法とは、行政の内部(組織および権限)について規律する法をいいます。

 

つまり、「行政は誰が行うか」について定める法です。
(例)内閣法、国家行政組織法

 

参考として、内閣法に次の規定があります。

 

第2条1項:内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。

 

A行政作用法

 

行政作用法とは、行政が私人に対してなす作用について規律する法をいいます。

 

つまり、「行政は何を行うか」について定める法です。
(例)土地収用法、警察官職務執行法

 

参考として、警察官職務執行法に次の規定があります。

 

第2条1項:警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

 

B行政救済法

 

行政救済法とは、違法行政に対する救済を定める法をいいます。

 

つまり、「行政によって不利益を受けた人をどのように救うか」について定める法をいいます。
(例)行政不服審査法、行政事件訴訟、国家賠償法

 

参考として、国家賠償法に次の規定があります。

 

第1条1項:国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 

 
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