役に立つ法律の情報・実用法学-行政法、民法など、大学課程の法学

行政法の法源

 

まず、法源とはどういうものか?

 

「法源」とは、法がどのような形式で存在しているか、という問題です。
例えば行政法でいえば、行政法は成文法という形で存在している、不文法によって存在している、ということです。
ちなみに、行政法では成文法が原則であり、不文法は補充的法源としての役割にとどまります。

 

 

法源の種類

 

法源の種類

 

 

成文法源

 

成文法源とは、実際に文書として制定されているものから基づかれている法源です。
具体的に、憲法、条約、法律、命令、条約という5つの成文法があります。

 

 

憲法

 

憲法は、国家の基本法です。
そして、行政法は、憲法の定める基本的な価値を具体的にしたものです。
よって、行政に関するあらゆる法は、憲法の基本原理に従わなければなりません。

 

最も重要なのは、憲法は行政法の法源のなかでも、最上位の法源であるということを理解していなければなりません。(憲法98条)

 

日本国憲法98条1項:この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

 

 

法律

 

法律とは、国家により制定される法規範の存在形式のことをいいます。
具体的にいうと、私たち国民の権利・義務に関する一般的規律は国家が制定する、ということです。
法律は、行政法の最も中心的な法源です。

 

 

命令

 

命令とは、行政機関により制定される法をいいます。
(例)政令、省令、規則、内閣府令、施行令

 

ここで、ちょっと法律を勉強されている人なら、憲法41条により国会が唯一の立法機関なのでは?、という矛盾に声があがるかもしれません。
しかし、「憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること」、は憲法73条6号により認められてますので、そこのところは気にしなくて大丈夫です。

 

 

条約

 

国家間の、文書による合意を条約といいます。

 

国際法上の法形式ではありますが、国内行政法の法源にもなります。
その理由は、条約が国内法的効力があり、それが行政にかかわるものであれば、その条約は行政法の法源となるからです。

 

 

条例

 

憲法94条は、地方公共団体に条例制定権を認めています。
よって、地方公共団体の議会が制定する法を条例といいます。

 

 

不文法源

 

不文法源とは、実際に文書として制定されておらず、暗黙の了解のような観念から基づかれている法源です。
具体的に、慣習法、条理という観念があります。

 

 

慣習法

 

まず慣習とは、人が行為をおこなう際に、自然と暗黙の了解で従うようになった一定の様式を慣習といいます。
そして、慣習が民衆の確信に支えられ、法として効力を認められるまでに高められたものを慣習法といいます。
例えば、法令の交付は官報ををもってすること、が慣習法として認められてます。

 

 

条理

 

条理とは、「社会通念」ともいわれるものです。
つまり、法令上明示されてはいませんが、一般に正義にかなう普遍的原理と認められるような原則をいいます。
よって、法の一般原則ともいえます。
(例)比例原則(憲法13条参考)、平等原則(憲法14条1項)、信義誠実の原則(民法1条2項)

 

比例原則:行政目的を達成するとき、必要最小限を超える不利益を課する手段を用いてはならない原則です。
平等原則:同じ状況下の人達がいる。その中で特定の人を、合理的理由なくして差別することを禁止する原則です。
信義誠実の原則:簡単にいうと、信頼関係をなくす行為をしてはならない原則です。

 

 
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