行政機関の概念
行政機関とは、行政主体のために手足となって実際に職務をおこなう機関です。
また、行政機関は法律により一定の範囲の権限(行政主体のために行うことのできる活動の範囲)と責任が割り当てられるますが、権利や義務を持つことはできません。
つまり、行政機関の行為の法的効果は行政主体に帰属します。
よって、行政機関は法人格を有しないといえます。
行政機関の概念
なお行政機関には、行政庁、補助機関、諮問機関、参与機関、執行機関、監査機関などの種類があります。
行政機関の種類
@行政庁
行政庁とは、行政主体の意思、または判断を決定し、それを外部に表示する権限を持つ行政機関です。
具体的に、独任制(原則)と合議制があります。
独任制には、各省庁の大臣・長官、都道府県知事、市町村長、税務署長、警察署長、消防署長などがあります。
合議制には、内閣、行政委員会、公正取引委員会などがあります。
総務省や外務省などの省庁自体は行政主体にあたりますので、違いに気をつけてください。
なお、行政事件訴訟法で、行政処分の取消や無効確認の対象となる行政処分を行うのが、この「行政庁」になります。
A補助機関
補助機関とは、市役所などの一般職員のように、行政庁の職務を補助するために、日常的な事務を行う行政機関のことをいいます。
(例)各省庁の事務次官・局長、副知事・副市町村長、一般職員など
B諮問機関
諮問機関とは、行政庁から意見を求められること(諮問)に応じ、または自らすすんで意見を述べることを主な任務とする行政機関です。
また、諮問機関の意見は法的拘束力を持ちません。
よって、行政庁はこの意見に対して参考とするかどうか決めることができます。
(例)中央教育審議会、法制審議会、地方制度調査会など
C参与機関
参与機関とは、行政庁に対して意見を述べるというところは諮問機関と同じです。
しかし、参与機関の意見は法的拘束力を持ちます。
よって、行政庁は参与機関の議決に基づいて、意思決定を行わなければなりません。
(例)電波管理審議会、司法試験考査委員会など。
D執行機関
執行機関とは、国民に対して、行政目的を実現するために必要とされる実力を行使をする権限を有する行政機関です。
(例)警察官、消防職員、徴税職員、自衛官、海上保安官など
なお、地方自治法で用いられる「執行機関」とは異なる概念です。
E監査機関
監査機関とは、すべての行政機関の事務や会計の処理を検査し、そのその適否を監査する行政機関です。
(例)会計検査院、監査委員など
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