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憲法改正の流れ

 

憲法改正とは、定められた改正手続に従って変更を加えることです。

 

憲法改正手続の流れ 

 

公布:成立した法律の内容を一般的に周知させるために知らせる行為。慣例として官報に掲載される。

 

 

国会の発議

 

国会で憲法改正の発議をするには、各議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要です。(憲法96条1項)
改正の原案の発議には、衆議院100名以上・参議院50名以上の賛成が必要です。(国会法68条)

 

改正の発議は、衆議院の優越はありません。
また、参議院の緊急集会による議決も認められません。

 

 

国民の承認

 

改正の発議が成立後、国民に提案して承認を得なければなりません。
国民の承認を得るには、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際の投票において過半数の賛成が必要です。(96条1項)

 

憲法改正の国民投票は、特別の国民投票または、衆議院議員総選挙や参議院の通常選挙の際に併せて行われます。
これに関連した知識として、最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院議員総選挙の際のみに併せて行われます。(79条2項)

 

 

天皇の交付

 

憲法改正について国民の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体をなすものとして、直ちに公布します。(96条2項)

 

 

憲法改正の限界

 

憲法改正には、一定の限界あるかどうかについて学説上の争いがあります。

 

通説によれば、憲法改正は一定の限界があるとされます。なぜなら、憲法の基本原理である国民主権・基本的人権の尊重、をなくす内容に改正することは、憲法の存在意義をなくします。また、国民投票ををなくすような、改正手続の実質に触れる改正はできないとされます。

 

 

日本国憲法の制定について(八月革命説)

 

日本国憲法は、形式上明治憲法の改正という形で制定されたことになっています。

 

しかし、天皇主権を定めていた大日本国憲法を国民主権を定める日本国憲法に変更することは、改正限界説からすれば改正の限界を超えるとして許されません。したがって、日本国憲法は実質的には明治憲法の改正ではなく新憲法制定の形で誕生したものであり、便宜的に明治憲法73条による改正手続を採っただけのものと改正限界説では考えられます。

 

 

憲法の変遷

 

憲法の変遷とは、憲法の定める改正手続を経ることなしに、憲法を改正したのと同様の効果が生じることをいいます。

 

しかし、憲法の変遷には問題があるとされます。具体的な問題として、自衛隊は憲法9条に違反する存在でしたが、憲法の変遷により合憲となったといえるかどうかという形で議論されてきました。
よって、通説によれば憲法成文に反する国家行為は、いかに継続して存在していても憲法に違反する事実にすぎないとして、憲法の規範性を重要して変遷を否定しています。

 

 
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