立憲的意味の憲法とは
立憲的意味の憲法とは、国家権力を制約することで国民の自由を保障するという、政治は憲法よって統治されることをいいます。この立憲的意味の憲法は、日本国憲法の基本原理です。
憲法の成立
一人の人間の命は1つだけです。そこに命の尊さがあります。
これを個人の尊厳といい、これを尊重することが憲法の一番の目的です。
個人の尊厳を尊重するためには、まず国家権力の侵害から自由でなければなりません。
これを権利として保障したものが人権です。
そして、人権保障のためには、国の政治のあり方も定めなければなりません。
これが、統治機構と呼ばれるものです。
このように、個人の尊厳のための人権とそのための統治の仕組みについて定めたのが憲法です。
憲法の変容
>@自由主義(国家からの自由)
憲法は個人の尊厳を目的とするため、国民の有する自由の侵害をなくさなければなりません。よって、国家権力を制限することで国民の自由が保障される考えを自由主義といいます。近代立憲主義は、この考え方から始まったため、自由主義が基本原理の中心でした。
立憲主義:政治は憲法よって統治される
A民主主義(国家への自由
たとえ自由主義が認められたとしても、実際に政治を動かすものが国王のような専制君主であれば、国民の人権が侵害される可能性が高くなります。
よって、全ての国民が個人としての自由が保障されるには、国民が国家政治に参加できるようにするのが最善と考えられるようになりました。そこで、参政権の保障が主張されるようになりました。
もっとも、国家からの自由(自由主義)が第一目的であるため、国家への自由(民主主義)は自由主義達成の手段の一つという位置づけでしかありませんでした。
B福祉主義(国家による自由
自由主義によって資本主義が発展しました。
しかし、国の規制なく自由にすることで、貧富の差が拡大しました。なぜなら、経営に成功した人だけが自由の恩恵を受け、それ以外の人は経営者により低賃金労働を要求され(代わりの人間はいくらでもいる)、多くの人々は本当の自由を得ることができなかったからです。
よって、国民は国に助けて欲しいと思い、選挙権が重視されるようになりました。そして、本当の自由主義を達成するためには、@生存権の保障、A労働者不当扱いの禁止(労働基本権の保障)が必要です。その結果、個人の生活を形式だけでなく実質的に国家が保障することを要求する、社会権(国家による自由)が認められるようになりました。
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