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平等による考えの歴史

 

近代国家成立当初は、自由と平等が最大の理念でした。この時代の平等とは、身分制度をなくして、だれもが努力すれば成功することができる「機会の平等」が中心的な考え方でした。

 

しかし、機会の平等だけでは、もし事業を起こして失敗すれば、成功した者に搾取され続ける自由を手にしたに過ぎませんでした。
そこで、現代国家の下では、社会的・経済的な弱者も人間らしく生きるための保障が必要とされてきました。したがって、現在は機会の平等だけでなく「条件の平等」も意識した平等が考えられています。

 

平等の変遷 

 

 

機会の平等

 

身分、障害など、あらゆる人の差異に関係なく競争に参加する機会を等しく与えることを機会平等といいます。

 

例えば、事業を起こす際は貴族や農民だからといって会社を立ち上げる機会を奪ってはいけません。もっとも、機会の平等だけでは失敗すれば本当の自由はなくなります。したがって、機会の平等は形式的平等ともいわれます。

 

通説によれば、憲法14条が「機会の平等」を保障するとされます。

 

 

条件の平等

 

人の現実の差異に着目し、競争の条件が等しくなるようにすることを条件の平等といいます。

 

例えば、不運の積み重ねで会社の立ち上げに失敗し、莫大な借金を背負ったとしても自己破産をして再度競争に参加できる機会ができます。このように、20世紀以降の福祉主義の思想は、社会的経済弱者に対して手厚い保護を与えることで、人権保障を実質化しようとしました。したがって、機会の平等は実質的平等ともいわれます。

 

通説によれば、憲法25条以下が「条件の平等」を保障するとされます。

 

 

結果の平等

 

人の現実の差異を結果で解消することをいいます。いわゆる、アフォーマティブ・アクション(積極的差別是正装置)とも呼ばれます。

 

例えば、社会的身分が低い人が起業しようとします。このとき、国が社会的身分の低い人に対して、成功しやすいように特別の援助を与えることが結果の平等とされます。逆差別の危険性があるため、結果のびはあまりありません。欧米では、大学入試や雇用の範囲で用いられていますり

 

通説によれば、「結果の平等」は憲法で保障されないとされます。

 
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