役に立つ法律の情報・実用法学-行政法、民法など、大学課程の法学

要件的規制

 

要件的規制とは、行政計画を作る場合に、作るための必要な条件が法律によって定められていることを前提とする規制です。

 

つまり、行政機関は要件がそろっている場合にのみ行政計画を定めることができる、とすることです。
例えば、都市計画法12条の4第1項、のような「必要なもの」という要件が挙げられます。

 

さらに、「必要なもの」の判断基準として計画を作ることの要件をより詳細に定めているものがあります。
例えば、都市再開発法3条や新住宅街地開発法2条の2、のようなものが挙げられます。

都市計画法12条の4:都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画で必要なものを定めるものとする。
一 地区計画
二 密集市街地整備法第三十二条第一項の規定による防災街区整備地区計画
三 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成二十年法律第四十号)第三十一条第一項
四 幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五十五年法律第三十四号)第九条第一項の規定による沿道地区計画
五 集落地域整備法(昭和六十二年法律第六十三号)第五条第一項の規定による集落地区計画

 

計画内容の規制

 

行政計画を作る際、行政機関には大きな裁量の余地が認められるのが一般的です。
しかし、その裁量の広さを理由に、今日の重要な問題として注目され、議論されています。

 

そこで、行政計画の内容について法律が規制を行っているものがあります。(例)都市計画法13条
具体的な計画内容の規制として、@整合性の原則、A考慮事項の指示、B計画目標の指示、があります。

都市計画法第13条1項:都市計画区域について定められる都市計画…は、国土形成計画、…その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画…及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない

 

七号 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。

 

@整合性の原則

 

整合性の原則とは、計画間での整合性の確保、または調整を要請する原則です。

 

つまり、計画が他の計画と矛盾がないようにすることを必要とする原則となります。
(例)都市計画法13条1項:都市計画が、国土形成計画などの国土計画または地方計画に関する法律に基づく計画および道路等の施設に関する国の計画に適合することを要求

 

例の他にも、「抵触するものであってはならない」(災害対策基本法40条1項)、「基本と」するものとする(国土形成計画9条2項、「調和が保たれたものでなければならない」(農業振興地域の整備に関する法律4条3項)など、表現は多様にあります。

 

 

A考慮事項の指示

 

考慮事項の指示とは、計画を作る際、行政機関が考えなければならない物事を、法律が指示することです。

 

(例)都市計画法13条1項:「当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない」と定め、また同項目7号は、地域地区に関する都市計画について、「土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して」と定めています。

 

 

B計画内容の指示

 

計画内容の指示とは、行政計画の目標または方向性について法律が指示することです。

 

(例)都市計画法13条1項7号:「住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。」と定めています。

 

 
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