行政行為とは
行政行為とは、行政機関と国民との間における法律関係の基本的な行為形式のことをいいます。
ちなみに、行政行為は学問上の用語であり、本来は行政庁の処分(行政処分)と言われます。
行政行為の具体的な特徴として、@行政機関が、A公権力の行使として、B対外的に、C個別的・具体的な規律を加えるD法行為という5つの特徴があります。行政行為か、行政行為でないかの違いはこの5つの特徴で判断できます。
@行政機関の行為
行政行為とは、行政機関の行為です。
つまり、三権のうち国会の立法行為や、裁判所の司法行為は行政処分ではありません。
なお、行政機関のうち、実際に行政処分の権限を持つのは行政庁です。
A権力性(公権力の行使)
行政行為は、公権力の行使です。
公権力の行使とは、簡単にいうと、国民の意思に関係なく、その権利を一方的に変動させ、あるいは身体や財産に一方的に強制を加えることをいいます。
つまり、相手方に同意を得ずに行為を行うことです。
B対外性
行政行為は、行政機関が国民に向かって(=外部に向かって)行う対外的行為です。そのため国や地方公共団体が、訓令や通達などの内部に対して発するような内部的行為は行政行為には当たりません。
C具体性(個別的・具体的な規律を与えること)
行政行為は、国民の権利義務を個別的・具体的に決定する行為でなければなりません。
そのため、法規命令の制定は一般的抽象的なものであるため行政行為に当たりません。
D法行為性(法的な行為であること)
行政の活動には、法行為と事実行為があります。
法行為とは、国民の権利義務に変動を生じさせる行為です。
反対に事実行為とは、公共工事など国民の権利義務に変動をもたらさない行為をいいます。
行政行為は、そのうちの法行為に当たります。
1つの例として、建築基準法に違反した建築物があります。
その場合、@行政庁は、ACD「除去命令」を、B建築主に対して発することができます。
その結果、建築主は建築物の除去義務を負うことになります。
行政行為の重要性
行政事件訴訟法:行政訴訟の制度は、行政行為を争う訴訟が中心となっています。
行政手続法:大半が行政行為に関する規定です。
行政行為の成立
行政行為は、行政が意思決定を行った段階で成立します。
そして、国民に対して告知という到達主義の方式によって効力を発するようになります。
到達主義とは、処分などの内容がかかれた書面の発送などにより、相手方がその内容がわかる状態(相手の支配圏に置かれる状況)になったときに効力が生じることをいいます。
行政行為が成立して、効力が発生するまでの流れは以下のようになります。
@法令で定められている要件がそろっているかどうかの審査
↓
A行政の意思決定(=行政行為の成立)
ここまでは行政の内部で行われています
↓
B国民に対する告知(=行政行為の効力の発生)
告知の方法
行政行為の効力が発生する告知は、5種類あります。
@口頭
A文書(生活保護法24条1項など)
B公示(建築基準法46条3項など)
C交付(道路交通法92条など)
D証印(出入国の管理および難民認定法9条1項など)
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